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2010年03月28日

クイールはもうどう犬になった

 この本は、絵本というより写真集です。地を這うような視点からの写真をはじめとして何枚も何枚もの写真のなかから選りすぐられた写真ばかりです。クイールの、喜び、可憐さ、凛々(りり)しさ、悲しみがとらえられています。写真家秋元良平さんの3年間の労作です。



 この本(1992.4出版)は、「㈱ひさかたチャイルド」という良心的な出版社から販売されました。が、思ったほど売れなかったようです。翌年に出版された「盲導犬になったクイール」という写真集も同様でした。

 ところが、この写真に惚れ込んだ、ひとりのライターがいました。石黒謙吾さんです。秋元良平さんのパートナーとなって、その文章と写真との組み合わせによって、「盲導犬クイールの一生」という新しい書籍が世に出ました。それは世の注目を集めました。書籍が売れ、テレビに取り上げられ、映画化され、多くの人がその物語に涙したのです。クイールは、日本で最も有名な盲導犬になりました。

 結局、秋元良平さんは、クイールが生まれ亡くなるまでの12年間、その姿を撮り続け、すばらしい作品に結実させました。

 「クイールはもうどう犬になった
 6月のある朝、ラブラドール・レトリバーという犬種に五匹の犬が生まれた。その一匹は、後にクイールと名づけられ、仁井さん夫婦に預けられる。このご夫婦はクイールをとても可愛がります。
 やがて、約束の1年が来ます。別れの前日、ご夫婦はクイールが大好きな散歩をいつもより長くしてやります。映画(テレビ?)では、散歩の途中にある公園で涙を流す奥さんにクイールがふざけながら甘える場面があります。観客の涙を誘ったようです。別れのこの日も、写真家の秋元良平さんは悲しい表情のクイールをしっかりと記録しています。
 ご夫婦(パピーウォーカーという)が預かるのは1歳の誕生日までです。こうして、盲導犬になるための訓練センターでの生活が始まりました。訓練をはじめて1年半がたち、クイールのパートナーが決まります。クイールと、パートナーの渡辺さんは、一歩一歩、一緒に歩く訓練をうけます。やがて、クイールと渡辺さんは、互いの愛情と信頼で結ばれていきます。最後のページ、雨の中を歩く二人(一人と一匹)の後姿が印象的です。

 この絵本というか写真集はここで終わっています。

 前述しましたとおり、秋元良平さんはクイールが亡くなるまでの残り9年間を撮り続けます。ずいぶん前にテレビで観たのですが、渡辺さんが急死し、クイールの幸せな時間が壊れてしまいます。その後クイールは、訓練センターに戻り、盲導犬のデモンストレーション犬となります。ある日、訓練士が講演をしている間、クイールが舞台の上から伏せの姿勢で会場の方をみています。先ほどからある人をずっと見ています。クイールは見続けます。

 その人は懐かしい仁井さん夫婦です。クイールは訓練された盲導犬です。声をたててはなりません。感情をあらわにしてはいけません。クイールは舞台の上から仁井さん夫婦をじっと見続けます。走り寄って甘えたいのを我慢しながら...

 盲導犬クイールは、1998年、12歳で亡くなりました。引退した盲導犬がパピーウォーカーのもとに戻るというのは、大変まれなケースだそうです。晩年を仁井さんご夫婦に見守られ、最後を看取られたことは、クイールにとって幸せなことだったに違いありません。

 .....もっと、クイールのことを知りたい方のために。
 文藝春秋のHPに「クイールの部屋」は「盲導犬クイールの一生」のHPがあります。「クイールをとりまく人びと」「クイールの未公開フォトギャラリー」などたくさんのクイールに関するお話が掲載されています。

 とくに、クイールと出会った方々のお話には印象深いものがあります。
 第1回 生ませの親、水戸さん
 第2回 パピーウォーカー、仁井さん
 第3回 訓練士、多和田さん
 第4回 盲導犬仲間ジョナ
 第5回 使用者 渡辺さん

 このほか、可愛いクイールの写真がいっぱいです。「盲導犬クイールの一生」という本の紹介が中心になっています。


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