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2010年11月11日

尖閣の謎

本年(2010年)9月7日に起こった中国漁船の我が国への領海侵入事件は、11月4日夜、ビデオ流出という新たな問題を引き起こした。昨日10日午前に「自分がやった」と告白した犯人は43歳の海保の主任航海士(男性)であった。

事件が起こってからもう2ヶ月が過ぎた。が、まだ収束していない。長引けば長引くほど日中どちらも失うものが多いと思うのに、次から次へと不祥事が起こる。

ここでもう一度、事件の経緯を振り返って見ることにしよう。

①9月7日午前10時15分頃、海上保安庁の巡視船「よなくに」が領海内で違法操業していた中国漁船「閔晋漁5179」に領海内から去るよう再三警告した。

②しかし、逃走を図った漁船は「よなくに」に接触し、続いて10時56分、同「みずき」に船体を体当たりさせた。
③午後0時56分、「はてるま」を加えた3隻の巡視船が漁船を追いつめ、日本側の係官22人が乗り込み、詹其雄船長を拘束した。

④翌8日午前2時3分、同船長を正式に公務執行妨害容疑で逮捕、同7時45分に身柄を石垣海上保安部に移した。
⑤11管区(沖縄)海保は、海上保安官の立ち入り検査への妨害が極めて危険・悪質と判断し、首相官邸や国交省・海保本庁の判断を仰ぎながら、衝突から逮捕に至るまで約16時間、あらゆる可能性を考慮し、法的根拠を詰め慎重に手続きしたと考えられる。

⑥通告を受けた中国は、外務次官補から始まり外務次官、外相を経て12日には外交を統括する副首相級の戴秉国・国務委員までが、実に5回にわたり丹羽宇一郎駐中国大使を呼び出して抗議した。
⑦11日には対抗措置として東シナ海のガス田開発に関する条約締結交渉の延期を発表、「無条件・即時の船長・乗組員と船体の返還」(のちに船長は除外)と「政治的に賢明な判断」(戴国務委員)を求めた。

⑧しかし、船長が公務執行妨害の容疑を否認したため、勾留期限を過ぎた19日に石垣簡裁が10日間の勾留延長を決め、略式起訴ではなく公判請求(起訴)に踏み切る構えを見せた。
⑨これを見た中国外交部は、即座に「強烈な対抗措置」を宣言、「省部級幹部」(各省・自治区・直轄市の党委員会常務委員・中央各部の副部長以上の高官)の交流停止を発表した。「政治的にデリケートな時期には上にならえ」というお国柄に、「反日運動の標的にされてはかなわない」(北京の大手旅行社副総経理)との危惧もかさなり、人的交流の停止・自粛は、民間も巻き込み一挙に拡大した。

⑩21日、訪米中だった温家宝首相が「さらなる行動」を明言した。23日には建設会社フジタの関係者4人が20日に「軍事禁」、つまり軍事管理区域に無断で侵入しビデオ撮影したとして拘束され、レアアース(希土類)の対日輸出が滞っていることも明らかになった。
⑪この時点で、両国の尊厳と主権をかけた外交闘争へと事態はエスカレートしてしまった。

⑫しかし、那覇地検は24日、同保安部が公務執行妨害の疑いで逮捕した中国人船長(41)を処分保留のまま釈放すると発表した。船長は25日未明に釈放され、中国政府のチャーター機で離陸した。

なぜ、ここまで事態はこじれ悪化したのだろうか。
その一番の原因は詹其雄船長の悪質さであった(と、わたしは思う)。

事件後、中国は、直ちに在京の大使館員らを石垣島に派遣、8日午後に海上保安部で初めて面会した後、連日、船長・乗組員から事情を聴いた。船長自身の供述や、漁船の母港である福建省晋江などの情報を総合し、「真相が分かれば、別の落としどころが探れるかも知れない」と期待した。

別の落としどころとは、2004年3月、中国人活動家7人が尖閣諸島に上陸、沖縄県警が入管法の不法入国容疑で逮捕したものの2日後には処分保留で強制送還した過去を指す。靖国神社参拝をめぐり中国と緊張していた小泉内閣ですら、超法規的に処理していたからだ。

しかし、上記⑧及び⑨のとおり、日本政府は船長の勾留延長を決めたのである。
この船長は地元関係者の間ではかねて「習慣性酒精中毒(アルコール中毒)の酒鬼」で知られ、「事件の際にも白酒(アルコール度の高い中国製ウオッカ)をあおり泥酔していた」「14人の乗組員は、今回の出漁に際し臨時募集したメンバーで、乗船するまでお互いの名前すら知らなかった」「事件当時も、乗組員は皆、割り当てられた持ち場で作業中だった。操舵室で舵を握る船長に声をかけたり注意したりできる乗組員はいないし、もともとそんな必要も雰囲気もなかった」「自船(166トン)よりずっと大きな“よなくに”(1349トン)など巡視船3隻に包囲されたのに、全くブレーキをかけないどころか、さらに加速して突進した。狂気の沙汰だと思ったときは後の祭り……展開を想像できた乗組員は1人もいなかった」

このような船長であっても、中国政府としては国内法で尖閣諸島を中国領土としている限り、日本政府の勾留延長に対し強く反発せざるを得ない状況に陥ったと思われる。

結局、こんなきちがいみたいな中国船長ひとりのために日中両国の対立と中国にいた4人の日本人と神戸海保官署の保安官等を縛につかせることになってしまったのだ。そこには日中両国の読み違いもあったことは違いない。

それでも、現時点においてさえ、なぜ政府は執拗にいわゆる尖閣ビデオを秘密にしようとこだわるのだろうかという疑問が依然として残る。やはり、国民は関連するビデオの全編を見る必要があるのではないだろうか。

最後にまだ、この事件の総括は早いかもしれないが、少なくとも米国務省が日米安全保障条約を「尖閣諸島にも適用」との公式見解が出されたことは特筆に値すると思うので、書き残しておきたい。

参考:尖閣問題“燎原の火”を点けた「酒乱船長」の暴走

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この記事へのコメント
仙石官房長官は「政治と行政のトップの責任のあり方はちがう」とおっしゃいました。これは大臣の責任ではないともとれる主張です。政治主導ならば政治家が責任をとるべきなのではないのでしょうか。
国家機密が流出することってありうるんですね。
メディアではなく内部の公務員。これから日本はどうなっていくのでしょうか。。
Posted by にわにわ at 2010年11月12日 23:59
景気浮揚、円高、外交問題に加えて、警視庁内部資料流出、神戸海上保安部の映像流出事件と続いていますね。
それらに適切に対応すべき政府高官なのに、なんだか政府のキーマンである官房長官は、脅し、惚けと失言ばかりですね。それに少し傲慢って言うかおごりも感じます。ちょっと心配です。
Posted by ecellecell at 2010年11月13日 10:10
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