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2012年08月01日

いじめ加害者の実名晒す行為は違法だと思う?

いじめ加害者の実名晒す行為は違法だと思う?
このようなタイトルで、マスコミらしい意見を書いたのは中日新聞の署名記事

大津市の事件では、いじめたとされる少年たちの実名などがネット上に流れた。関係のない人たちが加害者として間違って写真で紹介されるケースも起きている。

いじめた側をたたくだけでは、新たないじめを生むだけ。負の連鎖を断ち切る必要がある。


確かに少年法には少年の実名などは公表されないなどの保護規定がある。だから、いじめたとされる少年たちの実名などがネット上に流されたことは少年法に違反することである。

少年法61条:「『審判に付された少年又は…公訴を提起された者』については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であること推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。


問題は、「いじめた側をたたくだけでは、新たないじめを生むだけ」についてである。いじめた者たち、つまり犯罪者たちをたたくこと、犯罪者たちを処刑することは、現行法(少年法を含め)上、認められている。いじめという犯罪を起した者たちを裁き刑に服してもらうこと、即ち、国家がいじめた側をたたくことは、犯罪の抑止につながり、被害者(虐められた側)の報復感情を一部満たし、加害者側の贖罪(しょくざい)を促すことでもある。

「いじめた側をたたくだけでは、新たないじめを生むだけ」ではない。悪いことを悪いということは、それを抑止し、いじめが悪いことであることを教える、教育することである。いじめを罰することにより負の連鎖を断ち切ることである。もっとも、罰だけでいじめが無くなるわけではないが、少なくとも抑止しうる手段のひとつであろう。

次に、「いじめたとされる少年たちの実名などがネット上に流された」ことだが、この背景、つまり何故そこまで、ネットユーザーがしたかということ。それは端的に言えば、大津市の教育委員会等が正義を実行しなかったからではないのか。あまりにも酷い不誠実な対応であったからではないのか。あまりにも亡くなった子供がかわいそうだったからではないのか。

ギリシャ神話か何かだったと思うが、アンチゴーネの悲劇という話がある。政争の末、叔父に父を殺された娘アンチゴーネが叔父の「遺体を葬るものは死刑にする」という命令に反し、父の亡骸を丁重に葬ろうとした。怒った叔父は、アンチゴーネを死刑にしようとするが、彼女は死んだ父を葬るのはこどもの勤めです、法に反してでもわたしはそれをします、と応じた。

それとは逆に、悪法も法なりと言って毒杯をあおり自死したソクラテスの話もある。わたしは、後者の立場に立つが、アンチゴーネの気持ちが手に取るように分かる。現行の少年法を考えたとき、わたしはアンチゴーネに組したくなる。だから、あえて今般のネットでの怒りの行動を批判しない。

さまざまな意見があってよい。それが民主主義なのだから。しかし、法というルールを守ろうというのは理解できる。悪法も法なのだから。ただ、ネットユーザーの多くが何故そこまで追求したのかという背景も書くべきであるし、少なくともいじめた側をたたくだけでは、新たないじめを生むだけ、という論理も説明不足だと思う。そして、そのうえで、中日新聞が考えている「負の連鎖を断ち切る」方法を教えていただきたい、と思う。


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