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2012年12月29日

「凶悪」宮本太一著

2007年1月新潮社発行のノンフィクションを読んだ。「新潮45」の和歌山県出身の記者、宮本太一さんの著書である。

暴力団組長だった死刑囚の(ほかにもコロシをしているという)告発を受けたジャーナリストが、娑婆でのうのうと生き延びる、「先生」と呼ばれる男、真の凶悪を追い詰めていくストーリだ。ジャーナリストの視点で描いた作品は醜悪な人間の悪を照射する。しかし、この書籍の執筆時点では、事件の結末はまだわかっていない。そのため、読後感はよろしくない。

ネット情報によれば、2010年3月3日、先生こと三上静男被告(当時60歳)に対し無期懲役の判決が確定したとのことである。後藤良次死刑囚の告発が成功したようだ。

わたしが特に印象に残ったのは、事件の端緒を得てから三度目に交代した、水戸地方検察庁のナンバー2である。この次席検事の熱意と決意によって事態が大きく進展した。何事もそうかもしれないが、結局、組織も社会も個々の人間が動かしているってことを気づかせてくれた。

もうひとつ。やはり、ジャーナリストってすごいなと思わせてくれたこと。それも、和歌山県出身だなんて特にうれしい。まだ46歳、宮本太一さんの今後ますますのご活躍を期待したい。



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